信州のツキノワグマの油で、スキンバームをつくりました。
ソマミチが、クマ油を皆さんに知ってもらいたい!と考え出したのは、もう3年も前のこと。ソマミチ代表原薫の狩猟の師匠である上條栄さんに、お話を伺ったのです。
猟や山菜やキノコなど、山を自分の庭のように飛び回るそのライフスタイルと、その恵みを自ら加工して楽しむ姿に、いたく感激!みなさんにも聞いていただかねばと、お話をお聞きして、クマ油のクリームをつくるワークショップを開催しました。(レポートはこちら )
目からウロコのお話に、山って面白い!と参加者の皆さんも大いに楽しんでくださいました。
その後、クリームだけでも欲しいという声をいただきましたが、コロナ禍に入りワークショップの開催も難しい状況。そこで昨年ソマミチ独自にクリームを制作したところ、保健所からのご指摘をいただくことになってしまいました(ご迷惑をお掛けしたみなさま、申し訳ありませんでした)。
そして、化粧品製造販売の許可がある会社さんを探すことに。お願いすることになったのが、南信州は飯島町にある樹万培(いつきまんばい)さん。(下は楽天店舗画像)
ボタニカル化粧品メーカーさんですが、馬油の石けんやミツロウクリームも作ったことがあるとか。クマ油は未知の素材とのことで、興味を持ってくださいました。
まずは試作から、ということになったのですが、配合のバリエーションが無限と言ってもいいくらいあるのですね。コロナ禍もありほぼオンラインでのやり取りでしたが、色々と勉強させていただきました。
まず、クマの油を加工します。狩猟時期に、熊は10センチを超える厚みの油を蓄えています。それを熱して不純物を取り除きます。
とろりとした液体を瓶に詰めます。冷めると白く固まります。
これをお送りして、試作品を作っていただきます。
クマ油は貴重な原料だから、コメ油など植物性のものを入れるという考え方もありました。成分表示は、食品などと同様に配合量の多い成分から順に記載します。入れようと思えば40%くらいは別のものを入れても、記載順はクマ油が一番先になるんですね。
そして、試作品が完成。植物油を入れたもの・入れないもののサンプルをいくつか使い比べてみます。植物油入りのものは、さっぱりなめらかなんだけど、こっくり感が減るというか…。入れないものは、おお、これがクマ油!という使いごこち。やっぱりこの驚きを感じていただきたく、結局なにも入れないことにしました。
ミツロウは、二ホンミツバチのミツロウです。今回は信州産では量が揃えられず、九州産のものを使っています。ですが、割合としてはかなり少量です。こんな少量で固まる力があるんだなと、ミツバチの力にも驚かされます。
アロマオイルは、アカマツかクロモジかダンコウバイのオイルを抽出したい!…ところですが、その楽しみは次回に。今回は、ラベンダーとティーツリーの、オーガニックのものを使っています。ラベンダーだけだと甘く感じる方もいるかと思い、ティーツリーとミックスしました。
そんな経緯を経て、ついに完成!材料は、クマ油、ミツロウ、アロマオイルのみ。一切混ぜものなし!の本当にピュアなスキンバームとなりました。
そんなピュアなスキンバームのため、使用上の注意がいくつか。
①高温の場所に置いておくと、溶けてしまいます。高温時は、冷蔵庫で軽く温度を下げてから開封していただくと安心です。使用後もきちんと蓋を閉めてください。
②酸化防止剤のトコフェロール(ビタミンE)も入れないこととしましたので、長く置いておくと香りや使用感が変わることがあります。お早めにお使いください。(冬に向けてもう一度販売できる目途が立っていますので、節約せずにお使いくださいね)
③念のため少量から試して、お肌に合わない場合は使用をお控えください。
お使いいただく場所としては、まずは顔やリップがおすすめです。
冬の乾燥時にお使いいただくとその保湿力感じられると思います。夏なら、日焼けしたあとの顔に塗っておくと、ピリピリが治まりやすいように思います。マスクの下のかさつきや、目元などもよいと思います。ふんわり軽く、でもこっくりとした使用感です。
同じ哺乳類、おんなじ成分だあ…という感じがする浸透感です。(化粧品らしくないコメントですみません…)
熊がかわいそう、とお感じになる方もいるかもしれません。でも、山を継続的に活かすには木を切って使うことが必要なように、人間が山を使わせてもらうには熊の数を調整することも必要。そして熊の命をいただくなら、すべてを無駄なく大切に使わせてもらいたいと思います。
このスキンバームは、
森に生きていた熊が、今自分にしみわたっていくような。
人は森との循環のなかで生かされていると、気づくような。
そんな気持ちになれると、個人的には思っています。
ラベルのデザインには、山の恵みということで、山のイラストを入れました。
遠くの山から一筆書きのように熊につながっている。そんなイメージのイラストとしました。
山の恵みと言えばまずは木材生産をイメージしますが、ジビエや里山など、多種多様なものがあります。
このスキンバームは、
山の恵みって、こんなものもあるんだ!という気づきを感じてもらいたい。
猟師さんにも対価をお支払いできる形として、山に還元される形をつくりたい。
ソマミチのそんな思いが込められています。
ぜひお使いいただいて、ご感想など伺えたら嬉しいです!
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