ご近所の木を切ってきて家をつくる【Neighborwood Project】造材編です。
造材【ぞうざい】とは 伐倒された木の、枝を切り落とす「枝払い」と、幹を一定の寸法に切る「玉切り」を行う作業。
冬に伐倒して枝をつけたまま「葉枯らし乾燥」をしていた木々たち。雪が溶けたら搬出です(樹皮がついたままだと痛みやすくなる)。一般的にはスギに向いているといわれる「葉枯らし乾燥」ですが、ウインチで引いてみると結構軽いので、ヒノキでも効果がありそう、とのことでした。家族で伐採させてもらった木「ひーさん」だけでなく、荒山林業さんでその他の木も伐倒を進めてくださっていました。
ヒノキをメインに、アカマツなどもあります。
さっそく、どう切っていくか相談開始。
基本的には、曲がりがある部分を外して、4m、6mなどの規格長さが取れるように考えていきます。本来は「一番玉」という根元の部分が一番太いので、そこで6mなどの長いものを取りたいけれど、アテなどで曲がっていることも多いので、曲がりの部分は短めに切って板材用とし、その上で6m材を取る・・・などの工夫をしていきます。4m材になるものは、4m10cm、6m材になるものは、6m10cmで切っていきます。
昔は大工が偉かった、などといいますが、その昔は山側が見立てた形で材木を使っていったのだそう。
ここで、しももとさんより「渡りあごの場合、一般的な寸法である4mだとわずかに足りなくなる」というご意見が。そのお言葉を反映して、何本かは4m50cmのイレギュラーな長さに切っていただきました。これは梁になるということですね。
その他にも、曲がった部分があると「曲がり梁だね、曲がり梁」と言うみなさんに、「これぞ民家風っていう曲がり梁はやなんですよー!」などとあれこれ言って、とても面白かったです。 (※今回、つくり方は伝統構法でかつプレーンな空間を目指したいと思っております)
今回の造材の玉切りを担当してくださったのは、Gちゃん。
前回の下見から今回までの間に、荒山林業の一員に!
枝払い。植林した若木の枝を切るのは「枝打ち」と言いますが、違う用語なのですね。
プロはチェーンソーで枝を払いますが、手のこでちょっとお手伝いしてきました。100年前後の木々なので、枝も目が詰まって赤身が入っていて素敵。少しもらってきたので何かつくりたいと思います。
今回の山は林道脇の場所なので、この小型林内作業車からワイヤーを伸ばして、ウインチで丸太を牽引して搬出します。
引っ張る丸太の先頭にかぶせる道具が、スキッドコーン。
他の木に引っ掛かかるのを防いだり、他の木を保護したりする道具です。でも、何かに似てる…と思ったら、「うちではヤヨイと呼んでます」。やよい、やよい…
!!
こちらの!!もうそうとしか見えなくなってきました…笑
玉切りしてもらった木の年輪。
すごくきれいに目が詰まっていますよね!
一般的に植林した木は、中央部の年輪が荒く、外側が詰まっていることが多いです。それは、木の間隔が開いていた最初の頃はぐんぐん育って、その後は間伐などのお手入れが行き届かず込み合ってきて成長が悪くなる、という経過をたどることが多いからです。
この子たちも、100年前に植林されたものではあるはずですが、香山さんいわく「天然ヒノキと言ってもいいくらいの目だねえ~」。柱などにしてしまうと、この小口部分は見えないのですが、どこかで見られるようにしたいですね。
法隆寺最後の宮大工、西岡棟梁は「木を買わず山を買え」と言いました。
一、堂塔の建立には木を買わず山を買え。 建立には1つの山の木を使うこと。木は土質によって性質が異なるから、同じ環境で育った木を使って組んでいく必要がある。
「宮大工棟梁・西岡常一 「口伝」の重み」 より
期せずして(と言ってしまうと考え無しでやっているようで血の気が引きますが)、この一箇所の山からまとまった本数の木を出していただけることになりました。この木々たちが活かされて、長く愛されて使っていけるものにしなければ、と気持ちが引き締まります。
西岡棟梁はさらに言います。
「木を生かすには、自然を生かさねばならず、自然を生かすには、自然の中で生きようとする人間の心がなくてはならない。」
きっとそんな心を知るみなさん。こんなことにご一緒いただけて、とても幸せです。
今日もありがとうございました!
と思ったら、香山さん「近くの山を見に行こう」ということで、以下道草編です。
台風で折れてしまったコシアブラ、芽を摘んでから切ろうと思って残しておいたとか。 コシアブラがイチゴ狩りなみにとり放題!こんなワイルドな山菜取りは初めてです!
近くに見覚えがある建造物が・・・あ、ここは冬のソマミチツアーでお邪魔したところなのか!
そして、うわさに聞いていた哲学の森にも…!
オオヤマザクラの花もあーんなところに咲いています。
この木は、荒山雅行さんとスイスのフォレスターさんの選木バトルで、二人とも残すと言った木なのだとか。
そしてここは、荒山雅行さんが、最後に薪の材を出していた現場。
香山さん「そのまま残して土に返そうと思って」。 うまく言えませんが、時の流れを感じる、新緑の夕暮れです。
と、振り返るとどうしてそうなった!?という木もあったり、
卵もあったり(これは別の場所ですが)、
あいかわらず、山、エンタテイメントだなあ!
次回は高橋林業さんまで運んでもらって、製材の予定です。お楽しみに!